賢く住宅ローンを比較する以前に、自分自身が返済できる額と借入可能額をしっかりと区別して把握したいです。

「 借入可能額 」はイコール「 返済可能額 」では無い

借入可能額と返済可能額 まず金融機関が判断する借入可能額とは、そのまま返済可能額ではない事を理解したいです。 家族構成やライフスタイルなどで支出が違ってくる事は当然の事だからです。

あくまで借入れ可能額は一律の式で算出されているに過ぎないという点を忘れないようにしたいです。

つまり、金融機関の審査に通ったから問題ないというわけではなく、 自分の返済可能額は自分の判断で計算して算出する事が大前提です。 次に返済計画と賢い借入れ金額の設定について考えてみていきたいと思います。

一般的な借入れ可能金額を考える方法

マイホームローンの借入額は、次の2つの考え方から算出する事が一般的です。

所得の面から算出・・・年収に対する返済比率から考える・・・詳しく見る

物件の面から算出・・・民間の金融機関の担保掛目は8〜9割程度・・・詳しく見る

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返済比率担保掛目

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【借入可能金額】 所得の面から算出

所得の面からローンの借入可能金額を考える場合には、 年収負担率から考えるプロセスと、実際の返済可能金額から考えるプロセスが存在します。

年収負担率から考えるプロセス

税込みの年収金額からローンの年間返済額の基準を設定したものが返済比率、あるいは年収負担率といいます。

分かりやすく極端な例で説明させて頂くと、 年収300万円人が、年間に100万円のローンの総額を支払う事と、 年収3000万円の人が、同じく年間に100万円のローンの総額を支払うのでは全く状況が異なるという事です。

つまり、年収が多い人ほどローンの返済にまわせる余剰金が大きいだろうという想定で算出される金額になります。 かなり大雑把な説明ですが、なんとなく意味は分かって頂けると思います。 返済負担率を計算する式は単純です。

【返済負担率を計算する式】 返済負担率=年間返済額合計÷税込み年収

年収負担率の基準


税込み年収 返済負担率
200万〜300万円未満 25%以内
300万〜400万円未満 30%以内
400万〜600万円未満 35%以内
600万円以上〜 40%以内〜

※上記の表はあくまで目安であり、金融機関によって設定は異なります。


実際の返済可能金額から考えるプロセス

今現在、賃貸住宅にお住まいの世帯の方ならば、 家賃やその他の収支から返済可能金額を考える事ができます。

家賃や駐車場代は住宅ローンの返済に充てる事は可能です。 さらに、住宅購入の為に行っていた預貯金の金額も返済にまわす事も可能です。

一方で、マイホームを取得した場合に想定される支出の増加も無視する事は出来ません。 固定資産税などの税金や、火災保険料などの保険料、増加なども考える必要があります。

このようにして、実際の返済可能金額から考えるプロセスによって導き出された返済可能金額と、 年収負担率(返済比率)の計算式から出された金額の両方を検討して購入する物件の選択肢を絞り込んでいく事も重要な考え方です。

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【借入可能金額】 物件の面から算出

一般的な基準では民間の金融機関の融資限度額は購入金額や物件評価額の70〜90%程度となっています。 借換えの場合には担保価値を越える金額の融資が可能なローンもありますがそれは例外的なものと考えておいた方が無難です。

つまり、この基準を超えた融資は行われないという事が基本的な考え方です。 借りる側からすれば、この基準を超えた借入は出来ないという事になります。

住宅価格が3000万円で、住宅ローン希望額が2400万円の場合、
「住宅ローン借入希望額」÷「売買価格」

つまり、2,400万円÷3,000万円=80.0%の担保掛目となります。


担保掛目(たんぽかけめ)とは
住宅ローンの担保として「自分の購入する物件」に対して設定される金額の事です。 (正確に言うと、住宅購入時の場合は『売買価格』か『銀行の設定価格』のどちらか低いほうに対する融資額の割合の事。) 一般的には70〜90%に設定される事が多いです。

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余裕を持ちたい返済計画

金融庁金融研究センター ディスカッションペーパー (2012 年4月) の資料では、収入が10%減少すると、返済困難と判定される比率は2.53倍となったという報告が記載されています。 つまり住宅ローンに関しては、それだけ余裕の少ない借入れを行っている世帯が多いという事実が見えてきます。

さらに同資料では、変動金利型と固定期間選択型のサンプルの住宅ローン返済額を10%増加させると、 返済困難と判定される比率は、1.48 倍となったとも言及しています。 金利の変動や給料の減少などはある程度吸収可能な余地を残しておく事は必須です。

若年層の月収の減少は金融機関にとっても脅威

終身雇用の制度が徐々に崩壊しつつある日本の社会では、 『勤続年数を重ねる事=月収の増加』にはならない事が多くなっています。

会社の業績に連動する給与形態や成果報酬割合が多い給与体系の場合、 経済情勢の動向によっては年収が減少する事も視野に入れておく必要があると言えます。

住宅ローンに限らず、借入れに関しては余裕のあるプランを考える事は必須です。 「今の状況が続けば問題ない」と無理な返済計画を選択する事は大きなリスクである事をもう一度再認識したいです。

金融機関にとっても30代から40代の月収減少の影響は大きい?

@世帯主年齢区分ごとに見ると、月収の減少による住宅ローンへの影響は、 30 代から40代の若年層で大きくなる。高齢層ではデフォルトが増加しても住宅ローン残高が少ないので、 損失見込額は小さい。

A金融機関区分ごとに見ると、「都市銀行/信託銀行」に比べ、 「地方銀行/第2 地方銀行」、「住宅金融支援機構」、「その他」の金融機関で、 月収の減少により損失見込額が増大する傾向となる。

B地方区分ごとに見ると、東京圏(東京・神奈川・埼玉・ 千葉)や名・阪・福(愛知、京都、大阪、兵庫、福岡)などの都市圏に対して、 それ以外の地方部で、月収の減少により損失見込額が増大する傾向となる。

※「金融庁金融研究センター ディスカッションペーパー (2012 年4月)」より引用


夢のマイホーム取得が苦労の始まりにならない為に

住宅ローンの返済不履行率(デフォルト率)に関しては正確な統計がありませんのでなんとも言えませんが、 実際に毎月の返済に追われて全く余裕の無い生活を送っておられる世帯も多いです。

物件を比較検討している段階では、「ここも良い」「こんな物件が欲しい」と色々夢は膨らんでいきます。

しかし、返済可能金額という項目に関しても、 しっかりと自分達が把握して一定の妥協点を探すか、 今回は縁が無かったからもう少し先、という判断を下して無理が無い様に物件の取得を考える事も重要です。

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